いつもの移動が運動に シェアサイクル「距離」で見る健康効果
シェアサイクル移動距離と健康効果の関係性
近年、都市部を中心に普及が進むシェアサイクルは、手軽な移動手段として多くの方が利用されています。単なる移動だけでなく、「健康のため」に活用したいと考えている方も少なくないのではないでしょうか。特に、普段運動の時間を確保することが難しい方にとって、通勤や日常の移動で運動不足を解消できるなら、これほど効率的なことはありません。
しかし、「シェアサイクルでどれくらい乗れば運動になるのだろうか」「具体的にどれくらいの距離でどんな効果があるのだろうか」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。本記事では、シェアサイクルでの移動距離と期待できる健康効果の関係性について解説し、日々の生活に無理なく運動を取り入れるヒントをご紹介します。
シェアサイクルで得られる基本的な健康効果
シェアサイクルは、自身の力でペダルを漕ぐため、自転車に乗ること自体が運動となります。主に以下のような健康効果が期待できます。
- 有酸素運動としての効果: 一定時間、比較的軽い負荷で継続的にペダルを漕ぐことで、有酸素運動となります。これにより、心肺機能の向上や体脂肪の燃焼が期待できます。生活習慣病の予防や改善にも繋がる重要な運動形態です。
- 運動不足の解消と全身の筋力維持: 日常的にシェアサイクルを利用することで、普段あまり体を動かさない方の運動不足解消に役立ちます。特に下半身の筋肉(太もも、ふくらはぎなど)を中心に鍛えることができますが、バランスを取るために体幹も使われるため、全身の筋力維持にも繋がります。
- メンタルヘルスへの好影響: 外に出て体を動かすことは、気分転換になり、ストレスの軽減やリフレッシュ効果が期待できます。心地よい風を感じながら移動することは、心身の健康維持に良い影響を与えます。
移動距離と健康効果の具体的な関係性
シェアサイクルによる健康効果は、移動する距離や時間、そして漕ぐ速さや坂道の有無といった強度によって変化します。ここでは、目安となる距離と期待できる効果について説明します。
-
短い距離(〜1km程度): バスや電車での移動に代えて1駅分だけシェアサイクルを利用する、あるいは職場や自宅から数百メートルのコンビニエンスストアや飲食店までシェアサイクルで移動するといった短い距離の利用でも、全く運動しない場合に比べれば活動量が増加します。短時間でも体を動かす習慣は、運動を始めるきっかけとして重要です。継続することで、塵も積もれば山となり、活動量のベースアップに繋がります。気分転換や眠気覚ましにも効果的です。
-
中距離(1km〜3km程度): このくらいの距離になると、意識すればまとまった有酸素運動として効果が期待できます。例えば、通勤で2〜3駅分をシェアサイクルに置き換える、昼休みに少し離れた場所までシェアサイクルでランチに行くといった利用です。15分〜30分程度の乗車になることもあり、軽く汗をかく程度の運動強度であれば、体脂肪の燃焼や心肺機能への適度な刺激になります。一般的なペースで自転車を漕いだ場合、1kmあたりの消費カロリーは体重や速度にもよりますが、おおよそ20〜50kcal程度と言われています。3kmの移動であれば、60〜150kcal程度の消費が期待でき、日常の積み重ねとしては十分な運動量となり得ます。
-
長距離(3km以上): 自宅から職場まで片道3km以上をシェアサイクルで移動する、あるいは週末にシェアサイクルで少し遠出するといった場合、より高い運動効果が期待できます。継続的な乗車により、心肺機能はさらに向上し、基礎代謝アップや体質改善にも繋がりやすくなります。ただし、無理は禁物です。特に運動習慣のない方がいきなり長距離に挑戦すると、疲労や怪我の原因となります。距離を伸ばす際は、体調と相談しながら徐々に増やすことが大切です。電動アシスト付きのシェアサイクルであれば、体力に自信がない方でも長距離に挑戦しやすくなります。
重要な点として、上記の距離はあくまで目安です。 同じ距離でも、平坦な道をゆっくり走るのと、坂道を速く走るのとでは運動強度が全く異なります。運動効果を高めたい場合は、少し息が弾む程度のペース(笑顔で会話できるくらいの強度)で、継続的に乗車することを意識してみてください。
日常生活で「距離」を意識したシェアサイクルの活用術
運動効果を意識してシェアサイクルを日常生活に取り入れるためには、移動する「距離」を少し意識してみることが有効です。
- 通勤ルートの一部をシェアサイクルに: 全てを自転車通勤にするのが難しくても、自宅から最寄りの駅まで、あるいは会社の最寄り駅からオフィスまでの一駅分(多くの場合は1km前後)をシェアサイクルに置き換えてみましょう。往復すれば1日2km程度の運動になります。
- 買い物の移動距離を増やす: いつも徒歩で行く近所の店舗だけでなく、シェアサイクルを使って少し距離のある店舗まで足を延ばしてみましょう。往復で1〜3km程度の距離を利用すれば、良い運動になります。
- 休憩時間や隙間時間に: デスクワークの合間に気分転換として、会社の近くのシェアサイクルステーションから少し先のカフェまで移動してみるのはいかがでしょうか。短い往復でも、体を動かすことで血行が促進され、リフレッシュ効果が期待できます。
- あえて遠回りしてみる: 目的地まで最短距離で行くのではなく、安全な範囲で少しだけ遠回りするルートを選んでみるのも一つの方法です。距離を少し伸ばすだけで、運動時間が増え、得られる効果も高まります。
無理なく距離を積み重ねるヒント
運動習慣がない方がシェアサイクルで無理なく距離を積み重ねるためには、以下の点を意識すると良いでしょう。
- 小さな目標から始める: 最初は「週に〇回、1kmだけでもシェアサイクルに乗る」といった小さな目標から始めてみてください。
- 体調を最優先に: 体調が優れない日や、悪天候の日は無理せず他の移動手段を選びましょう。継続するためには、無理をしないことが最も大切です。
- 目的地までの距離を確認する: スマートフォンのマップアプリなどで、目的地までの距離を確認する習慣をつけると、どのくらいの運動になるかを事前に把握できます。
- 「ながら運動」として捉える: シェアサイクルでの移動は、あくまで移動手段でありながら運動もできる「ながら運動」です。義務として捉えすぎず、移動のついでに運動ができている、とポジティブに考えましょう。
手軽さが「距離を意識した運動」を後押し
シェアサイクルは、多数設置されたステーションのおかげで、乗りたい時に借りて、目的地近くのステーションで返却できるという手軽さがあります。これにより、「ちょっとだけ」「あと1kmだけ」といった距離を意識した利用が容易になります。自身の自転車のようにメンテナンスの手間もかからず、電動アシスト付きを選べば体力的な不安も軽減できます。普段着のままで気軽に利用できる点も、日常の移動に運動を取り入れやすい大きなメリットと言えるでしょう。
健康とエコを両立する賢い選択
シェアサイクルは、自身の健康増進に役立つだけでなく、環境にも優しい移動手段です。自動車利用をシェアサイクルに置き換えることは、二酸化化炭素(CO2)排出量の削減にも貢献できます。日々の移動で距離を意識しシェアサイクルを利用することは、ご自身の健康にとって良いだけでなく、持続可能な社会の実現にも繋がる賢い選択と言えます。
まとめ
シェアサイクルは、単なる移動手段ではなく、日々の移動距離を意識して活用することで、手軽に運動不足を解消し、健康維持・増進に繋げることができる優れたツールです。短い距離の積み重ねでも活動量増加の効果があり、1km〜3km程度の距離を意識すれば有酸素運動として十分な効果が期待できます。無理なく自分のペースで距離を伸ばし、日常の移動を健康づくりに役立ててみてはいかがでしょうか。手軽に始められるシェアサイクルを、今日から「運動習慣の第一歩」として活用されることをお勧めいたします。